
院長:星野お気軽にご相談ください!
走っているときや走り終わったあと、足の付け根や股関節あたりにズキズキとした痛みを感じたことはありますか?「少し休めば治るだろう」とそのまま走り続けていたら、どんどん悪化してしまった、というランナーの方からのご相談が当院にも多く届いています。


趣味のランニングを思い切り楽しみたいのに、股関節の痛みがブレーキをかけてしまう、そんな状況はとても辛いですよね。今回は、走ることと股関節の痛みの関係について、原因から対処法まで詳しくお話ししていきます。


ぼく自身も学生時代にバレーボールやバドミントンで足の付け根に違和感を感じた経験があります。あのときもっと早く原因を知っていれば、と思うことが今でもあります。走ることが好きな方こそ、この記事を読んで体と上手に付き合うヒントにしてほしいです
「股関節の痛み」と一口に言っても、その原因はひとつではありません。場所や痛み方、痛みが出るタイミングによって、関係している組織や疾患がまったく異なります。正しく原因を知ることが、改善への最初の一歩です。
骨盤から太ももの骨にかけてつながる腸腰筋は、足を前に蹴り出す動作で常に使われる筋肉です。ランニングフォームや走行距離の急増によってこの筋肉に炎症が起きると、鼠径部(そけいぶ)のあたりに引っかかるような鋭い痛みが現れます。
特にスピード練習を取り入れたばかりのランナーや、普段デスクワークで股関節が固まっている方に多く見られる傾向があります。「走り出しの一歩目が痛い」という方は、まずこの腸腰筋の状態を疑ってみてください。
鼠径部の痛みが続く場合に耳にすることの多い「グロインペイン症候群」は、スポーツ選手に特有の慢性疼痛のひとつです。腸腰筋をはじめ、内転筋や腹筋などが複合的に関係して発症するため、ひとつの筋肉だけをケアしても症状が改善しにくいという特徴があります。
サッカーや陸上競技のランナーに多く、休んでいると症状が落ち着くのに走り始めるとまた痛くなる、というサイクルを繰り返す方が多いです。「少し休んだら治った」という経験を繰り返している方は要注意です。
股関節の骨の形状に問題があることで、関節の動きの中で骨と骨がぶつかり合い、痛みが生じる状態です。生まれつきの骨の形が影響することもありますが、長期間にわたる誤ったフォームや筋肉バランスの崩れが引き金になるケースも少なくありません。
「深く曲げると股関節の前側が詰まる感じがする」「長距離走ると深部に鈍痛が出る」という症状が特徴的です。整形外科でレントゲンを撮って初めて気づくことも多い疾患ですが、骨に異常がないと言われた場合でも、筋肉や骨盤の問題が原因となっているケースは非常に多いため、原因を諦めずに追うことが大切です。
太ももの外側の出っ張り(大転子)に摩擦が繰り返されると、そこにある「滑液包」という袋状の組織が炎症を起こします。ランニング中に腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)が大転子の上を繰り返し通過することで起こるため、特に女性ランナーや骨盤の幅が広い方に起きやすいと言われています。
股関節の外側にズキズキと焼けるような痛みを感じる場合は、この疾患が関係していることがあります。放置すると慢性的な痛みに移行しやすいため、早めの対処が必要です。
週に何度も高強度のランニングをこなすランナーは、股関節周辺の疲労骨折にも注意が必要です。大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)という股関節に近い部位に起きやすく、レントゲンでは映りにくいことからMRI検査が必要になるケースもあります。
「走ると鼠径部が痛いが、何週間休んでも改善しない」という場合は、疲労骨折の可能性も含めて専門家に相談することをおすすめします。無理して走り続けると、完全骨折のリスクもゼロではありません。
痛みが出ているということは、股関節に何らかの「許容オーバー」が起きているサインです。その原因の多くは、体のある部位への過剰な負担と、別の部位の機能低下が組み合わさっています。
骨盤が前傾しすぎている、あるいは左右で高さに差がある状態でランニングを続けると、股関節には本来かからないはずのストレスが繰り返しかかります。足の長さが違うように感じる、左右どちらか一方の股関節だけが痛い、という場合は骨盤の歪みが関係している可能性が高いです。
骨盤の状態は自分では気づきにくいものです。鏡の前で自分の姿勢を確認してみると、肩の高さや腰の位置に左右差があることに気づくこともあります。「なんとなく走りにくい側がある」と感じていた方は、一度チェックしてみてください。
中殿筋(ちゅうでんきん)や大殿筋(だいでんきん)といったお尻の筋肉が弱くなると、ランニング中に骨盤が左右に大きく揺れる「トレンデレンブルグ歩行」の状態になります。これが股関節への偏った負担を生み出します。
また腸腰筋や太もも前面の大腿四頭筋の柔軟性が不足していると、股関節の可動域が制限され、代わりに腰や膝が過度に働こうとするため、全体的なフォームの乱れにつながります。ストレッチをほとんどせずに走ることだけを重ねていると、こうした問題が蓄積しやすくなります。
着地の位置が体の重心より大きく前に出る「オーバーストライド」や、足首を引きずるような低い重心での走り方は、股関節への衝撃を必要以上に大きくします。特にフルマラソンを目指して練習量を急に増やすと、フォームが崩れたまま距離だけが延びていくことになります。
走り方のクセは自分では気づきにくいものです。スマホで後ろから走っている姿を動画で撮影してもらうと、フォームの問題点が見えやすくなります。
大会前に練習量を一気に上げると、組織の回復が追いつかなくなります。筋肉や腱、関節包といった軟部組織は、骨ほど丈夫ではなく、繰り返しの負荷に対して適応するための時間が必要です。週に10km走っていた方が翌週から30kmに増やす、というような変化は股関節にとって大きなリスクになります。
痛みが出たとき、「休むべきか続けるべきか」で迷う方はとても多いです。これは実際に難しい判断で、痛みの種類や程度によって答えが変わります。ただ、いくつかの目安を持っておくだけで、判断がしやすくなります。
まず安静時にも痛みがある場合は、組織への炎症が強い段階と考えられます。このタイミングで走り続けると症状の悪化を招くことがあるため、いったん走るのを止めることを優先してください。また、走っているうちに痛みが増してくる、片足に体重をかけると股関節に鋭い痛みが走る、という場合も同様です。
「少しなら大丈夫」と自分に言い聞かせながら無理をするランナーがとても多いのですが、痛みをかばったまま走ることで膝や腰にも二次的な問題が起きることがあります。一時の我慢が数ヶ月のブランクにつながることもあるので、勇気を持って休む判断も大切にしてください。
ウォーミングアップ中は少し気になる程度で、走り始めると気にならなくなり、走り終わってからも特に痛みが残らないという場合は、フォームや練習量に気をつけながら継続できる可能性があります。ただしこれはあくまで目安であり、自己判断で続けることにはリスクが伴います。
痛みが出たときの応急処置から、再発を防ぐためのケアまで、自宅でできることをまとめてご紹介します。ただし、セルフケアはあくまで補助的なものであり、根本的な原因の解決には専門家によるアプローチが欠かせないということを念頭に置いておいてください。
痛みが出た直後は、患部を冷やすことで炎症の拡大を抑えます。氷をタオルで包んで10〜15分を目安に当てましょう。直接肌に氷を当てると凍傷の恐れがあるため注意が必要です。
床に片膝をついた状態(ランジポジション)で、後ろ側の足の股関節前面をゆっくり伸ばします。腰が反らないように注意しながら20〜30秒キープしてください。左右それぞれ行うことで、腸腰筋の柔軟性を保つことができます。
横向きに寝て膝を曲げ、足を重ねた状態から、上の膝だけをゆっくりと開きます。お尻の横の筋肉が収縮しているのを意識しながら行いましょう。10〜15回を3セット行うことで、ランニング中の骨盤の安定性が高まります。
仰向けに寝て膝を曲げ、お尻をゆっくり持ち上げます。大殿筋とハムストリングをしっかり使いながら、肩から膝が一直線になるまで持ち上げてください。骨盤が左右に傾かないよう意識しながら行うのがポイントです。
ランニングの総距離は、1週間ごとに前の週から10%以上増やさないことが一般的な指針として知られています。急な負荷増加を避けるだけで、多くのランニング障害は予防できます。大会に向けて焦る気持ちはよくわかりますが、体への投資と考えてペースを落とすことが結局は近道になります。
「ストレッチもして、練習量も減らしたのに、なかなか治らない」という声は非常に多いです。その理由のひとつは、痛みの本当の原因が特定できていないからです。表面的な症状に対してアプローチしても、根っこにある問題が残っている限り、何度でも同じ症状が繰り返されます。
たとえば骨盤の歪みが根本にある場合、いくら股関節周りの筋肉をほぐしても、歪んだまま走り続ける限りまた同じ負担がかかります。あるいはフォームに問題があっても、その原因が足首の硬さや体幹の弱さにある場合、股関節だけを施術しても限界があります。
身体というのは全てがつながっています。どこか一点だけを見ていても、正しい答えにはたどり着けないことが多い。長年施術を続ける中で、そのことを改めて実感しています。
痛みの改善に向けて最も重要なのは、「なぜ痛くなったのか」という原因を正確に把握することです。原因がわかれば、対処の方向性も明確になります。逆に言えば、原因を特定せずに施術を続けても、一時的に楽になっても繰り返す可能性が高いです。
骨盤の傾きや左右差、股関節の可動域、どのタイミングで痛みが出るかを丁寧に検査することで、痛みが起きているメカニズムが見えてきます。自分では気づいていない重心の偏りや筋肉の左右差が、長年積み重なって症状として現れているケースは少なくありません。
股関節周囲の筋肉(梨状筋・中殿筋・大殿筋・腸腰筋・ハムストリングスなど)の緊張をほぐしながら、弱くなっている部位を正しく使えるようにしていくことが、再発防止の鍵になります。これは手術や薬では対応できない部分であり、丁寧な施術とセルフケアの組み合わせが有効です。
走り方だけでなく、日常の立ち方・歩き方・座り方も股関節への負担に影響します。仕事中の姿勢、寝るときの向き、靴の選び方まで含めてトータルに見直すことが、根本的な改善につながります。
「もう40代だから仕方ない」「加齢で軟骨が減ったのだから治らない」と言われたことがある方もいるかもしれません。でも、実際には年齢に関係なく改善している方はたくさんいます。
レントゲンで異常がないと言われた方でも、筋肉・骨盤・姿勢の問題を整えることで痛みが大きく軽減するケースは非常に多いです。骨の変形があったとしても、それを「支える力」を高めることで痛みをコントロールできる場合もあります。「なにをしても治らなかった」という方ほど、原因の見落としがあることが多いと感じています。
走行後のみに痛みが出る場合は、まだ初期段階であることが多いです。ただし、同じ状態が2週間以上続いている場合は、専門家に診てもらうことをおすすめします。早い段階でアプローチするほど、改善も早くなる傾向があります。
レントゲンで見えるのは骨だけです。股関節の痛みの多くは、筋肉・腱・靭帯・関節包といった軟部組織や、骨盤の歪み・姿勢の問題に原因があります。「異常なし」はあくまで「骨に異常がない」ということであり、痛みの原因がないということではありません。
ストレッチの効果がない場合、そのストレッチがあなたの痛みの原因に対して適切でないケースがほとんどです。間違った部位へのアプローチを続けると、時間だけが経過して症状が慢性化することもあります。原因に合ったアプローチを選ぶことが重要です。
大会への気持ちはとてもよくわかります。ただ、痛みを抱えたまま走り続けることで完全に走れなくなるリスクも考える必要があります。早めに原因を特定してアプローチすることが、結果的に大会に間に合わせるための最短ルートになることも多いです。
僕自身、幼い頃から多くの競技を経験し、足の付け根やお尻周りに違和感を抱えながら続けた経験があります。当時は父が鍼灸師だったおかげで、何か異変を感じるたびに「なぜこうなったのか」を教えてもらうことができました。その経験が今の施術の根幹にあります。
走ることが好きだからこそ、痛みを我慢して続けてしまいがちです。でも、体からのサインを無視し続けていると、気づいたときには長期のランオフが必要な状態になっていた、ということは珍しくありません。「少し様子を見ればいい」が、数ヶ月のブランクにつながることがあるのです。
ランニング中の股関節の痛みは、原因を正確に特定して、根本から対処することで改善できる可能性は十分にあります。何度繰り返しても治らないとお感じの方こそ、一人で悩まずにぜひ一度ご相談ください。あなたが再びすっきりと走れる日常を取り戻すために、全力でお手伝いします。