産後の骨盤の歪みを防ぐ座り方｜授乳中の姿勢も解説

こんにちは、星野BodyCare鍼灸整骨院の星野です。出産を終えて育児に奮闘されているママさん、毎日本当にお疲れ様です。授乳やおむつ替えで座っている時間が長くなると、腰が痛くなったり、骨盤のあたりに違和感を感じたりしていませんか。

出産後の身体は想像以上にデリケートで、特に骨盤周りはホルモンの影響で靱帯が緩んだ状態が続いています。そんな時期だからこそ、日常の何気ない座り方が骨盤の歪みを招き、腰痛や体型の変化につながってしまうことがあるんです。当院にも産後骨盤矯正を求めて来院される方が多くいらっしゃいますが、皆さん口を揃えて「もっと早く座り方を意識すればよかった」とおっしゃいます。

産後の骨盤はなぜ不安定になるのか

出産という大仕事を終えたママの身体には、目に見えない大きな変化が起きています。妊娠中から分泌されるリラキシンというホルモンは、骨盤の靱帯を緩めて赤ちゃんが通りやすくする役割を果たしますが、産後もしばらくはこのホルモンの影響が残り続けるんです。通常は産後6ヶ月程度かけて徐々に元の状態に戻っていきますが、この期間中の骨盤は非常に不安定で、外からの力の影響を受けやすい状態になっています。

さらに出産時には骨盤が大きく開くため、骨盤を支える筋肉や靱帯にも相当な負担がかかっています。特に骨盤底筋群と呼ばれる骨盤の底を支える筋肉は、妊娠中の重みと出産時の負荷で大きくダメージを受けているため、骨盤全体の安定性が低下してしまうんです。この時期に不適切な座り方を続けてしまうと、骨盤が歪んだまま固定されてしまい、慢性的な腰痛や体型の崩れにつながってしまいます。

産後に避けたい座り方

産後のママがついやってしまいがちな座り方の中には、骨盤に大きな負担をかけてしまうものがいくつかあります。これらの座り方を知っておくことで、日常生活の中で意識的に避けることができますよね。

横座り（お姉さん座り）は骨盤を歪ませる

床に座る際に両足を横に流して座る横座りは、女性らしく見える座り方として習慣になっている方も多いかもしれません。でもこの座り方は骨盤の左右バランスを大きく崩してしまう原因になります。片側の骨盤だけに体重が集中するため、骨盤が傾いた状態が続き、股関節や腰椎にも負担がかかってしまうんです。特に授乳中は長時間同じ姿勢を取ることが多いため、横座りの影響はより深刻になります。

ぺたんこ座り（割り座）も要注意

両膝を曲げてお尻を床につけるぺたんこ座りは、一見楽な姿勢に感じるかもしれませんが、実は骨盤を内側に押し込むような力がかかり、股関節の内旋が強制されてしまいます。この座り方を続けると骨盤が開いた状態で固定されやすくなり、お尻が大きく見える原因にもなります。また膝や足首にも負担がかかるため、産後の関節が不安定な時期には特に避けたい座り方です。

足を組む癖も骨盤の歪みに直結

椅子に座る際に無意識に足を組んでしまう方は多いと思います。足を組むと骨盤が回旋してしまい、左右のバランスが崩れるだけでなく、背骨も歪んでしまう可能性があります。産後の緩んだ骨盤では、この歪みがそのまま定着してしまうリスクが高くなるんです。リラックスするために足を組みたくなる気持ちはよく分かりますが、骨盤のためにはぜひ我慢していただきたい習慣です。

スマホを見る時の浅い座り方

育児の合間にスマホで情報収集をする時、ソファや椅子に浅く腰掛けて背もたれに寄りかかる姿勢になっていませんか。この座り方は骨盤が後傾して猫背になりやすく、腰椎や仙骨に大きな負担をかけてしまいます。背中を丸めた状態が続くと骨盤底筋にも力が入らなくなり、尿漏れなどのトラブルにもつながる可能性があります。

骨盤を整える正しい座り方

それでは産後の骨盤を守るために、どのような座り方を心がければよいのでしょうか。基本的なポイントを押さえておけば、育児中でも無理なく実践できる座り方が身につきます。

椅子に座る時の基本姿勢

椅子に座る際は、まず椅子の奥までしっかりとお尻を引いて座ることが大切です。坐骨という骨盤の底にある左右一対の骨で座面を捉えるイメージを持つと、自然と骨盤が立った状態になります。背もたれには軽く背中を添える程度にして、背筋を伸ばした状態を保ちましょう。足の裏全体を床につけて、膝の角度が90度程度になる高さの椅子を選ぶことも重要です。

授乳中はどうしても赤ちゃんの方に体が傾きがちですが、授乳クッションを活用して赤ちゃんの高さを調整することで、ママの姿勢を正しく保つことができます。クッションを使って赤ちゃんを胸の高さまで持ち上げることで、前かがみになることを防ぎ、骨盤への負担を軽減できるんです。

床に座る時の工夫

床に座る場合は、あぐらや正座が骨盤にとっては比較的負担の少ない座り方になります。あぐらをかく際は、お尻の下に座布団やクッションを敷いて高さを出すことで、骨盤が後ろに倒れるのを防ぐことができます。骨盤を立てた状態を維持しやすくなり、腰への負担も軽減されます。正座の場合も、正座椅子を使うことで膝や足首への負担を減らしながら、骨盤を正しい位置に保つことができます。

床での授乳や赤ちゃんのお世話をする際は、壁を背もたれ代わりにして座り、腰の後ろにクッションを挟むのも効果的です。壁に寄りかかることで骨盤が後傾するのを防ぎ、長時間の作業でも疲れにくくなります。

長時間座る時の注意点

どんなに正しい座り方を心がけていても、同じ姿勢を長時間続けることは骨盤や筋肉に負担をかけてしまいます。できれば30分に一度は立ち上がって軽く体を動かす時間を作りましょう。立ち上がった際に軽く伸びをしたり、腰を回したりするだけでも、固まった筋肉がほぐれて血流が改善されます。育児中は難しいかもしれませんが、意識的に姿勢を変える習慣をつけることが大切です。

座り方以外で意識したい骨盤ケア

日常の座り方に気をつけることはとても重要ですが、それと合わせて取り入れたい骨盤ケアもあります。産後の骨盤を早く安定させるためには、複合的なアプローチが効果的なんです。

骨盤底筋を鍛えるエクササイズ

骨盤底筋は出産で大きなダメージを受けている部分ですが、意識的に鍛えることで骨盤の安定性を高めることができます。仰向けに寝た状態で膝を立て、肛門と膣を締めるように力を入れて5秒キープ、その後ゆっくり力を抜くという動作を10回繰り返すだけでも効果があります。座ったままでもできるエクササイズなので、授乳中や信号待ちの時間などに取り入れてみてください。

骨盤ベルトの正しい使い方

骨盤ベルトは産後の骨盤を物理的にサポートしてくれる便利なアイテムですが、正しい位置で装着することが何より大切です。骨盤ベルトは腰骨ではなく、大転子という太ももの骨の出っ張り部分に合わせて巻くのが正解です。きつく締めすぎると血流が悪くなるため、指が1本入る程度の余裕を持たせましょう。ただし骨盤ベルトに頼りすぎると筋肉が弱ってしまうため、使用するのは外出時や家事をする時など、動きが多い時に限定するのがおすすめです。

ストレッチで柔軟性を保つ

産後は育児の疲れで筋肉が硬くなりやすく、骨盤周りの柔軟性も低下しがちです。お風呂上がりの体が温まっている時に、股関節周りのストレッチを取り入れることで、骨盤の可動性を保つことができます。仰向けに寝て片膝を抱えるストレッチや、両足の裏を合わせて膝を開くバタフライストレッチなど、簡単なものから始めてみましょう。無理のない範囲で続けることが大切です。

こんな症状があったら専門家に相談を

産後の骨盤の不調は時間が経てば自然に治ると思われがちですが、実際には適切なケアを受けないと慢性化してしまうケースも少なくありません。もし次のような症状が続いている場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

• 寝返りや起き上がる時に腰や股関節に痛みがある
• 歩く時に骨盤がぐらつく感じや不安定さを感じる
• 恥骨や仙骨のあたりに痛みが続いている
• 産前に履いていたズボンが骨盤部分で入らない
• 長時間座った後に立ち上がるのが辛い
• 尿漏れや頻尿の症状が改善しない

これらの症状は骨盤の歪みや筋肉のバランスの崩れから来ていることが多く、放置すると育児や家事にも支障をきたしてしまいます。当院では産後特有の骨盤トラブルに対して、一人ひとりの状態に合わせた施術プログラムをご提案しています。検査で原因をしっかりと特定した上で、骨盤矯正や筋肉調整、鍼灸などを組み合わせて根本から改善していきます。

産後のママは赤ちゃんのお世話で自分のことは後回しになりがちですが、ママの身体が健康であることは家族全員の幸せにつながります。痛みや不調を我慢せず、早めのケアで快適な育児生活を取り戻しましょう。座り方を意識することから始めて、それでも改善しない症状があれば、いつでも私たちにご相談くださいね。一人で悩まず、一緒に解決していきましょう。