
院長:星野お気軽にご相談ください!
赤ちゃんの頭の形が少し歪んでいることに気づいて、不安な気持ちになっていませんか。「生まれつきだから仕方ない」と諦めかけているママもいるかもしれませんが、実は赤ちゃんの頭の形は生まれた時だけで決まるものではないんです。


毎日の抱っこの仕方や寝かせ方、授乳の姿勢など、ママが何気なく行っている育児の中に頭の形を左右する要因がたくさん隠れています。周りからは「そのうち治るよ」「気にしすぎだよ」と言われても、本当に大丈夫なのか心配になりますよね。実は赤ちゃんの頭の形の歪みには自然に改善するケースと専門的な対応が必要なケースがあり、その違いを知ることがとても重要なんです。さらに意外かもしれませんが、赤ちゃんの頭の形とママの産後骨盤の状態には深い関係があることをご存知でしょうか。


赤ちゃんの頭の形は育児環境で変わります、一緒に正しい知識を学んでいきましょう
多くのママが勘違いしているのですが、赤ちゃんの頭の形は生まれつきだけで決まるものではありません。確かに出産時の産道通過による影響はありますが、それ以上に生まれてからの育児環境が大きく影響しているんです。
生後数ヶ月の赤ちゃんの頭蓋骨はまだ柔らかく、骨と骨の間には隙間があります。これは脳の成長に合わせて頭が大きくなれるようにするための自然な仕組みです。しかしこの柔らかさが裏目に出ることもあり、同じ姿勢で長時間過ごすと頭の形が変形してしまうリスクがあります。つまり毎日の抱っこの仕方、寝かせ方、授乳の姿勢といった育児の中での何気ない習慣が、赤ちゃんの頭の形を作り上げているということなんです。
赤ちゃんは1日のほとんどを寝て過ごします。新生児は15時間以上、生後3ヶ月でも14時間程度は眠っているため、寝ている時の姿勢が頭の形に大きな影響を与えるのは当然のことです。
いつも同じ方向を向いて寝かせていると、その部分だけが平らになってしまいます。特に仰向け寝が推奨されている現代では、後頭部が平らになる絶壁頭や、左右どちらかが平らになる斜頭症が増えているんです。ベビーベッドの配置や部屋の明るさ、ママの位置などによって赤ちゃんは自然と同じ方向を向きやすくなります。
さらに赤ちゃんには向き癖というものがあり、心地よいと感じる方向があります。この向き癖を放置すると首の筋肉の発達にも偏りが生じ、ますます同じ方向ばかりを向くようになってしまうという悪循環に陥ります。
抱っこの仕方も重要です。いつも同じ腕で同じ向きに抱っこしていると、赤ちゃんの首や頭の位置が偏り、それが頭の形の歪みにつながります。右利きのママは自然と左腕で抱っこすることが多くなりますが、これを意識せずに続けていると赤ちゃんはいつも同じ角度で頭を支えられることになります。
授乳時も同様で、片方の乳房ばかりで授乳していると赤ちゃんの首の向きが偏ります。添い乳の場合も注意が必要で、いつも同じ側で添い乳をしていると頭への圧力が一方向に集中してしまうのです。
赤ちゃんの頭の形は成長段階によって変化の可能性が大きく異なります。これは頭蓋骨の成長速度と骨化の進行が関係しているからです。
生後0ヶ月から3ヶ月の時期は頭蓋骨が最も柔らかく、変形しやすい一方で矯正もしやすい時期です。この時期に適切な対応をすれば、多くの場合は改善が期待できます。生後4ヶ月から6ヶ月になると頭蓋骨の成長スピードが速く、この時期が介入の最適なタイミングとされています。
生後7ヶ月を過ぎると頭蓋骨が徐々に固まり始め、自然改善の可能性が下がっていきます。生後8ヶ月以降は骨化がさらに進むため、形を変えることが難しくなってしまうのです。つまり早い段階で気づいて対応することが、赤ちゃんの将来のためにとても重要だということです。
赤ちゃんの運動発達も頭の形に影響します。首がしっかり座る前は頭を自由に動かせないため、寝かせた向きのままになってしまいます。しかし首が座り、寝返りができるようになると自分で頭の位置を変えられるようになり、圧力が分散されます。
ただし向き癖や筋性斜頸がある場合は、運動発達が進んでも同じ方向ばかりを向いてしまうことがあります。これは首の筋肉の発達が左右で異なるために起こる現象で、放置すると頭の形だけでなく体全体の発達にも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
結論から言うと、赤ちゃんの頭の形の歪みが自然に治るかどうかは歪みの程度と月齢、そして育児環境の改善度によって大きく異なります。軽度の歪みであれば生後6ヶ月頃までに自然に改善することもありますが、中等度以上の歪みの場合は自然改善が期待できないことが研究でも明らかになっています。
ここで重要なのは「自然に治る」という言葉の意味です。実は自然に治ったとされるケースの多くは、保護者が無意識のうちに体位変換をしていたり、赤ちゃんの運動発達が順調で自分で頭の位置を変えられるようになったりした結果なんです。つまり何もせずに放置していても治るわけではなく、日常的な育児の工夫や赤ちゃん自身の発達によって改善しているということです。
ここであまり知られていない重要な事実をお伝えします。実は赤ちゃんの頭の形の歪みとママの産後の骨盤の状態には密接な関係があるんです。出産時に開いた骨盤がしっかりと元の位置に戻っていないと、ママの姿勢全体が崩れてしまいます。
産後の骨盤が歪んだ状態だと、立っている時も座っている時も体の左右バランスが崩れています。そうすると赤ちゃんを抱っこする時にも無意識のうちに片側に重心をかけてしまい、赤ちゃんの頭がいつも同じ方向に傾いた状態になってしまいます。
授乳姿勢も同じで、ママの骨盤が傾いていると赤ちゃんの首や頭の位置も自然と偏ってしまうのです。さらに骨盤が歪んでいると腰痛や股関節痛が出やすく、痛みを避けるために楽な姿勢ばかりをとってしまいます。その結果、赤ちゃんをいつも同じ腕で抱いたり、同じ向きで寝かせたりすることになり、赤ちゃんの頭への圧力が偏ってしまうという悪循環が生まれます。
また出産時の骨盤の状態も重要です。骨盤が正常に開閉できないと産道が狭くなり、赤ちゃんの頭に長時間圧力がかかることがあります。難産だった場合や吸引分娩だった場合は特に、赤ちゃんの頭蓋骨に影響が残りやすいとされています。
産後のママ自身の体のケアは、実は赤ちゃんの健やかな成長のためにも欠かせないものなんです。ママの骨盤を整えることで正しい姿勢で抱っこできるようになり、結果として赤ちゃんの頭への負担も減らすことができます。
赤ちゃんの頭の形を整えるために、今日から始められる育児環境の改善方法をお伝えします。
まず重要なのが体位変換です。赤ちゃんが寝ている時に2時間から3時間ごとに頭の向きを変えてあげることで、同じ部分ばかりに圧力がかからないようにします。ベビーベッドの向きを変えたり、おもちゃの位置を変えたりして、赤ちゃんが自然と違う方向を向くように環境を整えることも効果的です。
抱っこは左右交互に行うことを意識しましょう。右腕で抱く時と左腕で抱く時を意識的に変えることで、赤ちゃんの首や頭の位置を均等に保てます。授乳も左右のバランスを取り、片方ばかりにならないよう注意することが大切です。
タミータイムと呼ばれる腹ばい時間を1日数回設けることも効果的です。起きている時にうつ伏せの姿勢で遊ばせることで、頭の後ろへの圧力を減らし首の筋肉も鍛えられます。ただし必ず保護者が見守っている時だけにし、寝かせる時は必ず仰向けにしてください。
育児環境を改善しても変化が見られない場合や、以下のような症状がある場合は専門医への相談を検討してください。
これらは頭蓋骨縫合早期癒合症という病気の可能性もあるため、必ず医療機関を受診してください。早期発見と早期対応が赤ちゃんの将来を左右します。
頭の形への対応は時間との勝負です。最も効果的な介入時期は生後4ヶ月から6ヶ月とされており、この時期であればヘルメット治療などの選択肢も広がります。生後8ヶ月を過ぎると頭蓋骨が固まり始めるため、改善の可能性が大きく下がってしまいます。
もし生後3ヶ月の時点で明らかな歪みに気づいたら、「様子を見ましょう」という言葉だけで安心せず、家庭でできるケアを積極的に始めることをお勧めします。そして1ヶ月経っても改善が見られない場合は、専門医への相談を検討してください。
赤ちゃんの頭の形は生まれつきだけで決まるものではなく、毎日の育児環境が大きく影響しています。そしてその育児環境を整えるためには、まずママ自身の体を整えることが何より重要なんです。産後の骨盤をしっかりケアすることで、赤ちゃんを抱く姿勢も変わり、育児そのものが楽になっていきます。一人で悩まず、どんな小さなことでも構いませんので、いつでもお気軽にご相談くださいね。



